2016年12月10日土曜日

カジノ解禁法案・IR法案、8日は委員会採決行わず!置き去りにされた課題

カジノ含むIR法案 きょう委員会採決行わず

2016/12月8日 11時53分



カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備を推進する法案の審議をめぐって、自民党と民進党の参議院国会対策委員長が会談し、8日は、参議院内閣委員会で採決は行わず、来週12日に参考人質疑を行うことで合意しました。

7日に参議院で審議入りした、カジノを含むIR・統合型リゾート施設の整備を推進する法案は、8日、参議院内閣委員会で質疑が行われ、自民党は、8日中に採決を行いたいとしているのに対し、民進党などは「慎重な審議が必要だ」と反対しています。

こうした中で、自民党の松山参議院国会対策委員長と民進党の榛葉参議院国会対策委員長が会談し、榛葉氏は「委員会での審議は始まったばかりだ」として、8日中の採決に改めて反対しました。そのうえで、榛葉氏は「法案は、社会に重大な影響を与えるおそれがあり、専門家などの意見も聞くべきだ」として、週明けに参考人質疑を行うよう求めました。

これに対して、松山氏は「自民党としても審議を充実したものにしたい」として、8日、内閣委員会で採決は行わず、来週12日に参考人質疑を行う考えを伝え、榛葉氏も、これを受け入れました。

このあと内閣委員会は理事会を開き、来週12日に参考人質疑を行うことを正式に決めました。

参照元 : NHKニュース




「カジノ法案」参議院で審議入り

2016/12/7(水) 12:45配信



6時間あまりの審議で6日に衆議院を通過したばかりの「カジノ解禁法案」が参議院で審議入りした。民進党はギャンブル依存症などの問題を指摘し、法案への反対を表明した。

民進党・小西洋之議員「カジノ解禁によって必ず生み出されるであろう新しい依存症患者をめぐる倫理的な問題を、本法案全体の趣旨の中でどのように考えていらっしゃるのでしょうか」

法案提出者:日本維新の会・小沢鋭仁議員「(法案では)ギャンブル依存症等について万全の対策を講じていくよう、政府に対し求めていくものとしています」

民進党の小西議員はさらに、「マネーロンダリング、暴力団対策などの深刻な対策が必要になる」などと批判した。自民党は今国会での法案成立を目指しているが、与党内にも慎重な審議を求める声もあり、参議院の審議は混乱も予想される。

参照元 : 日本テレビ系(NNN)














推進派も反対する拙速議論でカジノ解禁法案が爆速成立へ 置き去りにされた課題は

2016/12/3(土) 6:00配信

「カジノ解禁法案」が12月2日、衆議院内閣委員会で自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。自民党は今国会での成立を急ぐ方針。党内や推進派からも「拙速すぎる」と批判が出るほどのスピードだ。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

法案にはカジノや劇場、ホテル、大型の会議施設などを含んだ「統合型リゾート(IR)」を推進する目的がある。

賛成派は「観光立国や地域の発展につながる」、反対派は「ギャンブル依存症」「暴力団などの進出」をそれぞれ訴える。

賛否が真っ二つに別れる中、会期末までの2週間で、この法律は成立に向かう。その拙速さに、新聞各紙は反対の論陣を張り、推進派からも懸念の声が上がる。



推進派の専門家が議論不足を指摘するポイントは

BuzzFeed Newsの取材に応じた国際カジノ研究所の木曽崇所長は、観光振興の面から、これまでカジノ推進を訴えてきた。今回の拙速な審議には「十分ではなく、強行とも言える」と苦言を呈す。

特に足りていないのは、「刑法にまつわる問題」の議論と、反対派への真摯な回答だという。

刑法にまつわる問題とは、現行の公営賭博やパチンコとカジノの兼ね合いのことを指す。

「推進法案自体は、民間事業者に運営権限を直接付与するという前提で作られています。公営賭博が基本だったこれまでとは、180度違うものになる。にもかかわらず、その是非をめぐって、刑法に関わる論議がほとんどされていません」

日本で現在、刑法の例外として許されている賭博は、公営賭博だけ。民間事業者が運営できるのはパチンコなどの「遊戯」に限られる。

このような他の事業者との兼ね合いを検討しないと、「競馬は民営ではだめなのか、パチンコを賭博にできないのかという議論が上がってくる」という。

「カジノ一点に限ったものではなく、周辺産業への影響も論議すべきではないでしょうか」



不信感への懸念も

木曽さんは、反対派が指摘するギャンブル依存症などの問題点に対しても、「きちんと回答できていない」と言う。

「さまざまな懸念事項があるとの主張は当たり前のこと。そこに真摯に回答するのが推進派の義務なのに、残念ながら審議時間は足りていません」

「今回の議論は、いままで推進派が積み重ねた議論すらも無視しているように感じます。きちんと説明するというスタンスでこれまで時間をかけてきたのに、こんな形で法律が通ってしまっては、国民の不信感につながるのではないか、と懸念しています」

新聞各紙の反応は

新聞各紙も、一斉に反対の論陣を張っている。カジノ推進派である産経新聞でさえも、早急な議論に懸念を表明した。

朝日新聞は12月2日の社説「カジノ法案 危うい賭博への暴走」で、「最大の懸念のギャンブル依存症」と指摘した。

読売新聞も同日、「カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか」という強い見出しの社説を掲載した。「ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全」としている。

産経新聞はこれまで、法案について「多くのメリットが期待される」と好意的に評価してきた。しかし、この日の「主張」では「カジノ解禁法案 懸念解消を先送りするな」と批判。朝日や読売と同様の疑問点を並べ、「多くの疑問を残したまま、駆け込みで事を進めている」と指摘した。

与党議員からも反対の声が出ている。

自民党の山本一太・参院予算委員長は11月28日、「今国会で国民の理解が十分に得られていない「カジノ法案」を強引に成立させることには賛成出来ない!」との記事をブログに投稿。こう強く批判している。

「たとえ国会の会期が延長されるとしても、こんなに窮屈な日程の中で(国会の十分な審議もないまま)カジノ法案を強引に通すことには、どうしても賛成出来ない! そこまで急ぐ理由が分からない」

参照元 : BuzzFeed Japan


ギャンブル大国・日本で、カジノ導入に向けて絶対に不足しているもの 裏カジノ、グレー規制に踏み込めるのか

2016/12/8(木) 7:01配信



日本はすでに「ギャンブル大国」

統合型リゾート(IR)推進法案(カジノ法案)が衆議院本会議で可決され、参院での審議を経て成立する可能性が高くなった(7日夕方現在)。

推進する議連や誘致する自治体、カジノ関連企業などは、先送りされる公算が強いと目されていただけに歓迎しているが、マスメディアの多くが反対の論調。その理由のひとつが、ギャンブル依存症対策が不十分だというもの。「カジノ法案反対」が多い世論調査も、依存性への危惧が最大理由だ。

実際、日本のギャンブル依存症は少なくない。厚生労働省の発表では、日本でギャンブル依存症を疑われる患者数は、成人の4・8%、536万人にのぼる。オーストラリアが2%、米国1・6%、香港1・3%、フランス1・2%、他の韓国、カナダ、スイス、ニュージーランドなどが1%未満であることを考えれば異常に多い。

こうした状況を受けて、共産党など反対政党だけでなく与党のなかにもカジノ法案に反対する議員はいるし、例え法案が成立しても、第二段階として必要なカジノの設置基準や規制を盛り込んだ実施法案の過程で、相当に厳しい規制策が取られるか、対策のための論議が活発になることが予想される。

ただ、ここで考えなければならないのは、カジノがギャンブル依存性を誘引するものではないことだ。現段階で4・8%という数字が示すように、日本は公営ギャンブルやパチンコ・パチスロというグレーゾーンの遊戯を含め、ギャンブルがあまりに多く、それが管理されることなく放置されている。

ギャンブル依存症には、元患者やその家族などが支援団体を作り、依存からの脱却を支援しているものの、基本的にはボランティア活動であり、支援には限りがある。必要なのは、カジノ解禁を機に、国がギャンブル総体を、依存性対策を含めて積極的に管理することではないだろうか。

これほど日常的にギャンブルが認知され、公に開催、営業されている国はないだろう。中央競馬は土日に開催され、平日は地方の公営競馬が担い、競輪、競艇、オートは土日、平日に関係なく、365日、どこかで必ず開催されている。しかも場外の馬券、車券、舟券売り場があるので博打に苦労することがない。

駅前や繁華街、国道など主な街道沿いには、パチンコ・パチスロ店が開業。12時間営業で客を誘引。こちらの賭博性は公営ギャンブル以上で、数時間で5万、10万円のカネが失われる。明らかなギャンブルだが、三店方式で換金されるために、風営法の縛りを受けた遊戯という建前だ。

長引く不況の影響で、公営ギャンブルもパチンコ・パチスロも顧客の単価を落としているものの、パチンコ・パチスロが19兆円で公営ギャンブルが5兆円。認知されたギャンブルが、これだけの規模で行われているわけで、まさにギャンブル大国だ。

依存性患者が出ない方がおかしいが、その対策を担う役所はなく、競馬が農水省、競輪が経産省、パチンコ・パチスロが警察庁という縦割り行政のなか、天下り機関として共存共栄の関係にあるため、規制や対策よりむしろ奨励策が取られ、ギャンブル依存症に国民を誘引している。

それでもまだ刺激が足りない客のために用意されているのが、裏カジノである。こちらは完全な非合法だが、海外で勝負の早い、金額の大きいバカラなどを経験した小ガネ持ちや富裕層は、認可されたギャンブルでチマチマと遊ぶことでは満足できず、そこに暴力団と組んだ裏カジノ業者が場を提供する。

当然、グレーゾーン規制も進むはず

非合法ゆえに統計数字などないが、都内の盛り場では必ず開帳されており、摘発されるのは氷山の一角。野球賭博にハマった巨人軍選手やオリンピック候補のバドミントン選手が出入りしていたことが昨年発覚して、多少、その存在が知られたが、「ワンランク上」を自認する遊び人たちが勝負しているので、掛金も巨額。シノギの少なくなった暴力団にとって貴重な収入源となっている。

カジノは、ギャンブル大国日本に、最後にやってきた世界標準のギャンブルである。だから影響を心配する向きがあるし、さらなるギャンブル依存性が指摘されるのだが、むしろ推進すべきは、縦割りを排除したギャンブル総体の国家管理なのである。

現在、カジノ誘致に熱心なのは横浜と大阪で、横浜は山下埠頭の約50ヘクタールにIRを構築、その外人観光客誘引施設のひとつとしてカジノを想定。大阪は湾岸部の人工島・夢洲約100ヘクタールへの誘致を計画、2025年国際博覧会の併設施設にしたいという意向を持っている。

両方とも、開設は2020年東京五輪の数年先であり、「ポスト東京五輪」を担い、訪日客を呼び込むインバウンドブームを継続させたい。従ってカジノはIRの中核ではあっても主体ではなく、リゾート訪日客を満足させる施設のひとつという考えだ。

だからといって、公営ギャンブルやパチンコ・パチスロのような「日本ルール」「役所ルール」で運営されるものではなく、世界的ルールの適用が求められ、運営にはMGMやサンズなどのカジノ大手が絡んでくる。

それだけに、厳しい規制もまた必須である。そこには、ギャンブル依存症対策を含めた「ギャンブルの国家管理」という発想が必要で、その管理から外れる裏カジノの徹底排除はもちろん、グレーゾーンに留め置かれているパチンコ・パチスロの新たな立ち位置、法的規制も必要になってくる。

それが、カジノ法案成立という新たな地平に立った日本の次のステップなのである。

伊藤 博敏

参照元 : 現代ビジネス


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